オンライン資格確認の見積りを依頼する際に必要なことを確認しておきます。
- 顔認証付きカードリーダーの申し込み
- オンライン資格確認で利用する回線の確認(見積り依頼した際に、業者と一緒に確認することもあります)
- オンライン資格確認利用申請と電子証明書発行申請
オンライン資格確認利用申請と電子証明書発行申請はひと続きの流れで行なえます。この申請を行う段階まできたら、見積り依頼をかけて大丈夫です。申請を行うときには、稼働させる目処となる時期、導入する台数等も考慮することになるので、それに合わせて業者に見積り依頼をかけるとよいでしょう。また、自院のネットワーク環境がわからない場合は、まずは現地調査に来てもらいましょう。
それでは、一つずつ確認していきます。
顔認証付きカードリーダーの申し込み
これについては、本サイトをご覧になられている方でしたら、既に終えて手元に顔認証付きカードリーダーが到着されている方も多いかと思います。まだの方は、オンライン資格確認等システムポータルサイトにて、申し込みが必要です。本サイトの、「ポータルサイトへの登録」を参照しながら、ポータルサイトへの登録と、顔認証付きカードリーダーの申し込みをしてください。
回線の確認
業者に見積りを依頼する際に、出来る範囲で構わないので、回線の確認を行ってください。詳細については、本サイトの「回線について」のページを参照してください。
業者によっては、現地調査で確認してくれる(当社では本見積もり前に、現地でのネットワーク回線及び導通、受付周りへの配線等を確認します)ところもありますので、分からない場合は見積り前に業者に相談してみてください。逆に、回線の種類、契約形態等が不明なままでは正確な見積りが出来ません。回線の種類によっては、標準の手順では接続できない場合もあるためです。
フレッツ光やInternet接続用の機器がどこにあるかよく分からなかったとしても、NTTとのフレッツ光の契約書(回線開通のご案内等)や、毎月の電話料金の明細書等、「お客さまID」が分かる書類は最低限用意しておいてください。
フレッツ光ではない等、IP-VPN接続が利用できない環境で、IPSec+IKEによるVPN接続を利用される方はVPN接続業者との接続情報書類(契約書、接続ID案内書等)を用意しておいてください。まだ、VPN接続の契約が無く、このような環境の場合は、その旨見積りを依頼する時に、必ず業者に伝えるようにして、VPN接続業者を案内(業者が対応可能であれば代理申し込み)してもらってください。
オンライン資格確認利用申請と電子証明書発行申請
「お客さまID」が大事な意味 – 回線認証
NTTの「お客さまID」という言葉がポータルサイトの中でも、本サイトでもよく出てきます。これについて説明します。
オンライン資格確認を利用するためには、回線の用意をするだけではなく、その回線がアクセス可能な回線であることを証明するための「認証」が必要になります。患者様の個人情報である保険情報等が誰でも見れる状態では困るわけで、その情報にアクセスする資格のある医療機関だけが利用できるようにするために必要なものです。
少し難しい話しになりますが、おつきあいください。オンライン資格確認等システムにおいて、フレッツ光のIPv6回線での認証には、ユーザー名とパスワード等の認証ではなく、NTTがフレッツ光の契約時に割り当てる「お客さまID」を利用します。「お客さまID」はフレッツ光の契約者ごとに一意に割り当てられる番号で、NTTの光回線閉域網である「NGN網」の利用に必須の認証情報(認証を行う主体者はNTT)です。実際にはNTT東日本とNTT西日本でそれぞれNGN網を持っていますが、ここではまとめてNGN網として説明します。
NGN網は、NTT内で閉じたネットワークで、誤解を恐れずに言えば、NTT内部の巨大なLANだと思って結構です。また、NGN網は、直接Internetとの接続はされていません。皆さんが通常Internetに接続する場合、このNGN網に接続されたISP(プロバイダー)の機器と接続する(この為に必要なのがプロバイダーから通知されるユーザー名やパスワード)ことでInternetに接続できているのです。
実は、支払基金のオンライン資格確認等システムのサーバー群は、このNGN網と接続されています。フレッツ光の契約者は同じNGN網で繋がっていますので、オンライン資格確認等システムでは認証情報にNTTが発行する「お客さまID」を利用して認証することが出来るのです。
NTTとのフレッツ光の契約が完了している=NTTでの認証は完了済、そして、その認証済みの「お客さまID」を、お客様の了解の元にNTTが支払基金に提供し利用する。この仕組みにより、支払基金側ではユーザー名やパスワードを使用すること無くオンライン資格確認システムを利用するための許可された回線であるという確認(認証)が出来るというわけなのです。
ここで少し整理するために、上記の説明を図にします
NTTが発行したお客さまIDを「医療機関向けポータルサイト」の「利用申請」で登録することで、支払基金は皆さんのお客さまIDを「オンライン資格確認等システム」で利用できるように登録します。そして、この後説明する「電子証明書」の発行準備をして、皆さんに通知書を発行することで、接続を待つ体制が整います。
このように、オンライン資格確認等システムを運用する社会保険診療報酬支払基金に、フレッツ光の契約者である医療機関が「お客さまID」を知らせる手続きが、本ページで説明している「オンライン資格確認利用申請」なのです。
電子証明書の役割 – 端末認証
接続回線としての認証はお客さまIDを利用することで行えましたが、実際にデータにアクセスする端末が不特定ではセキュリティ対策として不完全です。そこで、ある特定の端末からでないとアクセスできないようにする仕組みに用いられるのが「電子証明書」です。オンライン資格確認等システムでは、この「電子証明書」をインストールした端末からでないと問合せを行うことが出来ません。ですから通常は、電子証明書をオンライン資格確認端末にインストールし、USBで接続された顔認証付きカードリーダーと連携して問合せを行うことになります。
オンライン資格確認等システムでは、これまで述べたように、NTTの持つ情報と連携して回線としての認証を行い、さらに、実際に保険情報にアクセスする「オンライン資格確認システム端末」に電子証明書の格納を義務付けることで、情報にアクセス出来る端末に制限をかけています。つまり、回線としての認証と、個別のアクセス可能な端末の認証、この二重の認証によりセキュリティを確保する仕組みを備えているということになります。この「電子証明書」を発行してもらう手続きが「電子証明書発行申請」です。
まとめますと、ポータルサイトで行う「オンライン資格確認利用申請」と「電子証明書発行申請」の手続きは、
- NTTの「お客さまID」を支払基金側に伝えることで、回線認証情報を支払基金が利用できるようにする
- 電子証明書発行申請を行うことで、端末の認証が出来るようにする
ための手続きをするということです。おつかれさまでした、難しい話しはここまでです。手続きを進めましょう。
オンライン資格確認利用申請手続き
ポータルサイトの中段少し下辺りに、下記のようなリンクボタンがあります。
この「3.オンライン資格確認利用申請」から利用申請手続を行います。ボタンを押すと「オンライン資格確認利用申請」画面に移ります。この画面に、下記のように利用申請の流れがありますのでざっと頭に入れておいてください。利用申請=回線認証、電子証明書発行申請=端末認証、のための手続です。
なんのための手続かはわかったけれど、この利用申請の流れにある文言がよくわからなかったという質問が多かったので少し説明しておきます。
オンライン資格確認とオンライン請求は全く別のものです。
オンライン資格確認・・・マイナンバーカードと保険証の情報を紐付けることで、保険情報の確認その他の情報を取得できるようになる仕組み(本サイトで説明している内容です)
オンライン請求・・・毎月のレセプトを(CD-ROM等の電子媒体ではなく)オンラインで請求する仕組み。電子証明書を共通で使うことが出来るというだけで、仕組みとしては全く別のものですので、ここではまずはオンライン資格確認の導通を優先させてください。
ちなみに、診療所ベースで見た場合令和3年9月時点で98%超が電子請求で、内訳はオンライン請求が77.9%、電子媒体による請求が20.6%となっています(社会保険診療報酬支払基金-統計情報より)。
当社では、オンライン請求については、オンライン資格確認が無事に開通した後、改めて接続用の手続を経て設定し、利用開始することをお勧めしています。同時に行うことも不可能ではないですが、接続不調時などのトラブル時に原因の切り分けがしにくくなり、両方使えなくなったという話しを聞くこともあります(フレッツ隼では現時点でオンライン資格確認はOKですが、オンライン請求はできません)。まずは、オンライン資格確認システムの安定動作を確認してからオンライン請求に進むほうが、無駄な時間を消費せずに済みます。
ですので、「利用申請の流れ」では下図、赤い太枠内の手続きだけを進めてください。
画面中段にある注意事項と、必要な情報について確認します。
「2 ドメイン〜」
メールアドレスを携帯メールで登録されている医療機関様は、2のドメイン許可設定をしておかないと、メールが届きませんので注意してください。
「3 IP-VPN〜」
本サイトでも再三出てきていますが、手続を進めるにあたって、flets光の契約者識別情報となる「お客さまID」の入力が必要です。オンライン資格確認のシステムでは、IP-VPN接続の場合、この「お客さまID」に基づいて認証を行うからです。逆にいうと、この情報が無いと、たとえオンライン資格確認の端末と顔認証付きカードリーダーがあって、回線が用意できていても、資格確認サーバーに接続して保険情報を確認することは出来ません。手元に「お客さまID」が確認出来る書類が無い場合は、NTTに契約者本人が連絡して送付してもらってください。利用申請の手続は、「お客さまID」が判明してから進めるようにしてください。
「4 オンライン〜」
利用規約がPDFで掲載されていますので、目を通しておいてください。
ここまでの準備が整っていれば、最終調査を兼ねて業者に来てもらい、準備してある資料を提示した上で、最終見積りをとる流れで進めてください。並行して、(業者と相談しながら)利用申請を進めることでオンライン資格確認システムの導入に必要な準備が出来ます。業者が端末やルータ等、機器を設置しに来る前に「マスタアカウント通知書」と「電子証明書発行通知書」が届いている状態にしておくことで、設置時にスムーズに作業を行うことが出来ます。
「オンライン資格確認利用申請」自体は、これまで説明した、回線確認と「お客さまID」がしっかりと把握できていれば、難しい手続きではなく画面にある指示通りに進めていって問題ありません。
「オンライン資格確認利用申請」は、画面下部の下のようなボタンから行います。
「オンライン資格確認利用申請」の手続きの中で、「電子証明書発行申請」も行えるので、どのタイミングで申請をしたらよいかを業者と相談して手続きを行ってください。
ここから先は、実際に登録している医療機関でしか見れない情報のため掲載しません。手続きの中でわからないことがあった場合、オンライン資格確認等コールセンターに電話して質問してください。