03.オンライン資格確認で使う回線について

オンライン資格確認の回線 回線
オンライン資格確認の回線

利用できる回線かどうかの判定

「オンライン資格確認等システムの概要」でも書いた回線について、詳しく解説していきます。また、この章を読んで居られるということは、既に顔認証付きカードリーダーの申し込みは済んでいることと思います。カードリーダ到着まではかなり時間もかかりますので、その間にゆっくりと着実に準備していってください。

まずは、下の回線判定チャートをご覧ください。「NTTの光回線契約があるかどうか」からスタートしますが、順に説明していきます。

回線判定チャートver1.1

まずは、NTTの光回線「フレッツ光」を既に契約済みかどうか。電話料金の毎月の請求書をご覧頂くのがわかりやすいと思います。「フレッツ光xxxx」の文言が請求書の明細欄にあれば、契約済みです。

(3/18) チャートから、プロバイダーによる判定を削除しました。プロバイダーとの契約如何に関わらず、IPv6オプション契約があればIP-VPN接続は出来る旨、NTT西日本に確認済みのため。

NTT光回線「フレッツ光」契約済みの場合(IP-VPNでの接続が可能)

フレッツ光契約済みの場合は、下記の3点を確認しておきます。フレッツ光未契約の方はこちらへ

  • (NTT)IPv6オプション契約の確認
  • (NTT)フレッツのサービス名に「隼」がついていないかどうか(NTT西日本)
  • (院内)ONUの設置場所確認
  • (NTT/院内)ひかり電話を使用しているかどうか

それでは、順に説明していきます

IPv6オプション契約の確認と「オンライン資格確認」で使える回線であることの確認

NTTからの請求書には、「フレッツ 光ネクスト F 利用料」等と記載されている明細部分の左上に、契約回線の電話番号(もしくは00−1234−5678のような10桁の番号)が記載されているはずです。この番号をもとにNTTに問い合わせて、「IPv6オプション」が契約済みかどうかを確認してください。もし、未契約であれば、申し込んでおいてください(工事費2200円要)。

また、このときに必ず、「オンライン資格確認で使う」旨を伝えて、「オンライン資格確認」で使える回線契約であることをしっかり確認してください。「フレッツ」と名前が付いていても、「オンライン資格確認」で使えない(または、その後「レセプトオンライン請求」では使えない等)回線が存在していることには注意が必要です。

光回線の契約時に送付される契約書(「お申し込み内容のご案内」)が手元にない場合は、「お客様ID」がわからないこともあると思います。これも併せて聞いておいてください。NTT西日本の場合、CAFと数字10桁合計13桁の文字列です。この場合は、念の為「お申し込み内容のご案内」の再発行を依頼しておくのがよいと思います。

いずれにしても、フレッツ光と名のつく契約があれば、下記フリーダイヤルに電話をかけて調べてもらうのが一番確実で早い方法です。(時期的なものもあり、オペレーターにつながるまでかなり時間がかかる可能性はあります)

フレッツ光の契約情報の確認窓口
NTT西日本、東日本共通
0120−116−116

以上の手順で、お客様ID(CAF0123456789等)の確認とIPv6オプション契約が完了ているはずなので、回線の確認と準備はこれで完了です。NTT西日本の場合は、下の「隼」タイプかどうかの確認もしておけば「オンライン請求」を考えている場合も万全です。

オンライン資格確認だけでなく、今後、オンライン請求(レセプトのオンラインによる請求)での利用を考えている場合

これは、NTT西日本のフレッツ光をご利用の方に確認していただきたい事項になります。「フレッツ光ネクスト」の「ファミリー・スーパーハイスピードタイプ隼」「マンション・スパーハイスピードタイプ隼」とサービス名に「隼」が入っている場合、オンライン資格請求では使えますが、レセプトオンライン請求では使えません

この場合、回線スピードは隼と比べると落ちてしまうのですが、「隼」の付いていないサービスに変更してもらってください。上記フリーダイヤルで併せて変更の申し込みが出来ます。また、これはNTTのサービスの変更だけなので、院内の通信機器等の入れ替え等は一切必要ありません(NTT局内工事費はかかります)。

また、実際の契約内容変更手続きにあたっては、みなさまの回線環境によって具体的な手続方法が変わってくる可能性がありますので、ここではご案内出来ません。ですが、上記電話番号にて全て手続きはできますので、その点はご安心ください。

医療機関によっては、遠隔読影やPACSのクラウドサービス等、画像や動画等のやり取りで、高速な回線が必要になるため、わざわざ「隼」を契約している場合もあるかもしれません。このような場合、「隼」でないタイプに契約変更すると、回線スピードが遅くなりますから、業務に影響が出る可能性があります。オンライン資格確認のために、院内業務に支障が出るのは本末転倒だと思いますので、その場合は、新規にフレッツ光ネクストを契約するか、既存のインターネット用の回線を使ったIPsec+IKEでの接続を検討してください。

最後に、支払い基金が公表している、オンライン資格確認、オンライン請求で利用出来るフレッツ回線の種別、サービス一覧(抜粋)を載せておきます。で囲んである部分のサービスはオンライン資格確認、オンライン請求ともに接続可能なサービスになります。部分、「隼」はオンライン資格確認は○、オンライン請求はxになっているのが分かると思います。

おおnおオンライン請求及びオンライン資格確認等システム接続可能回線・事業者一覧表から抜粋

上記表は抜粋ですが、オンライン資格確認で接続可能な回線の全リストはこちら(PDFファイル。3/1更新)です。今はxでも今後使えるようになるのか?それはわかりませんが、リストが更新されたら、こちらに掲載するようにしていきます。

ここまでの手順がクリアできれば、オンライン資格確認の回線接続方法としてIP-VPNが利用できることになります(利用申請時は、IP-VPNを選択し、NTTのお客様IDを入力します)

後は、院内のネットワーク機器の設置場所などを確認しておきますので、次に進んでください。

ONU設置場所の確認

フレッツ光等、光回線を契約すると屋内工事の際にONU(回線終端装置)が設置されます。昔の電話回線接続の時代で言うところのモデムに相当する機器だと考えておいて結構です。これが、「オンライン資格確認システム端末」を設置する受付窓口に近い所、にあるかどうかを確認してください。こんな機器です。

うまく受付窓口近辺にあればいいのですが、この機器が遠く離れた所、具体的にはケーブル長10m以上必要な場所にあるとなると、ネットワーク機器の設置場所の確保や、LANケーブルの取り回し等を検討する必要出てくるので、その分見積もりが高くなってしまうことが考えられます。

例えば、自宅兼クリニックの場合など、ONUは自宅部分にあり、そこからLAN工事やケーブル引き回しでクリニックに持ってきている場合等が該当します。

この項目については、下記の「光電話を使っているかどうかの確認」と共に、「オンライン資格確認導入支援ベンダー」に見積もり依頼時に、一度現地調査してもらえばスムーズに進むと思います。

もし、この装置が見当たらなければ、次に説明するホームゲートウェイがないかどうか確認してください。

ひかり電話を使っているかどうかの確認(ホームゲートウェイがあるかどうか)

ひかり電話を導入している場合、通常のONUの代わりにHGW(ホームゲートウェイ)が設置されていることがあります。上のONUより背が高いことが多いですが、このような外観です

ひかり電話を導入済みの場合は、上で出てきたONUの代わりに、このホームゲートウェイ(HGW)と呼ばれる機器が設置されているはずです。また、最近フレッツ光を開通したところは、(ひかり電話を使っていなくても)HGWが設置されていることがあるようです。この機器は、下の図のONUとルーターが一つになったものと考えてください。

オンライン資格確認システム概要図から院内部分抜粋

ONUの代わりにこれが設置されている場合は、HGWに対する追加の設定が必要になるので、HGWが設置されているかどうかは、見積もり依頼をかけるときに必ず導入支援ベンダーに伝えるようにしてください(見積額に影響がある場合があります)。

フレッツ光未契約の場合

この場合、これを機に新たに光回線(フレッツ光)を契約する、またはその他インターネット接続が可能な環境(例えば他社の光回線+プロバイダ、モバイルルーターによるインターネット接続契約等)を整備する必要があります。フレッツ光を契約するかどうかで、「オンライン資格確認」で利用するVPNの方式が変わってきますので、順に説明します。

フレッツ光を新規契約する(IP-VPNでの接続が可能)

フレッツ光を新規契約する場合、上での説明と同じIP-VPN方式での接続が利用できます。

インターネット接続環境が既にあれば、NTT西日本公式ホームページフレッツ新規お申し込み・提供エリア確認こちら)から申し込めます。このページをご覧になられてるということは、WEBから申し込みが出来ます。電話で相談しながら申し込みするのであれば、

フレッツ光の契約情報の確認窓口
NTT西日本、東日本共通
0120−116−116

ここに電話をかけて担当者と相談しながら申し込みを行ってください。担当者に伝えるポイントは以下の通り

  • 「オンライン資格確認」で利用する
  • IPv6オプションを必ずつける
  • プロバイダー契約は不必要
  • 月額利用料金が安くなるプラン等はよく説明を聞いた上で

事前に料金確認(シミュレーション)をするのであればここが便利です。

料金シミュレーション

このシミュレーションサイトで3/17現在の金額を計算してみると、

  • 初期費用  20,680円
  • 月額    4,730円(光はじめ割あり。なしの場合5,940円)
  • フレッツ光ネクスト、戸建てタイプ、光はじめ割、プロバイダ契約なし

となりました。既に自宅でフレッツ光を利用していれば、さらに「グループ割」で月額料金を下げることも可能な場合があるので、実際の申込時にNTTの担当者と相談してみてください。

プロバイダーや、ひかり電話等は必要であれば後から契約出来ます。また、繰り返しになりますが、「オンライン資格確認システム」の接続にはプロバイダー契約は必要ありませんフレッツ光の契約さえあれば、IP-VPN接続でのオンライン資格確認システムの運用が可能です

また、この初期費用については、オンライン資格確認システム導入補助金の対象となる予定ですので、請求書が到着した際は、忘れずにとっておいて添付資料に含めるようにしてください。

年度末ということもあり、回線開通まではかなり時間がかかるかもしれません。

フレッツ光が開通すれば、あとはこのページ上部の「NTT光回線「フレッツ光」契約済みの場合」を参考にして準備してください(新規契約時に予め読んでおくとスムーズに進めることができます)。

上の説明の通り、NTTのフレッツ光が敷設出来れば良いのですが、NTTの光回線提供地域ではない場合等、NTTの光回線の敷設が無理な場合は、その他電力系、ケーブルテレビ系、モバイルインターネット等何らかの形でインターネット接続可能な環境を整備する必要があります。

インターネット接続環境さえ整えば、これから説明するIPsec+IKE(インターネット接続方式)での接続が可能になります。

既にインターネット接続環境がありそれを利用する場合(IPsec+IKEでの接続)

NTTのフレッツ光以外の他社光回線(auひかり等)を利用したインターネット接続環境、携帯電話事業者の提供するモバイルルータ等を利用したインターネット接続環境等、がある場合の説明になります。

これまでは、フレッツ光契約が前提のIP-VPNによる接続について説明してきましたが、ここではそれ以外の場合の接続方法を説明します。

IPsec+IKEを使ったVPN接続は、平たく言えばインターネット網を利用して、そこに専用の仮想的な回線を作り通信する方法です。

これまで説明してきたIP-VPN接続はインターネット網には出ていかず、NTTの閉域網の中での通信です。一方IPsec+IKEは、インターネット網を利用してオンライン資格確認サーバと接続する方法になります。

つまり、IP-VPN接続方式はフレッツ光を使っていないと利用できないですが、IPsec+IKE接続方式は(原理的には)インターネット接続環境さえあれば、回線の種類(光、ADSL、モバイル等)によらず利用可能な接続方式となります

じゃあ、全部IPsec+IKEにすりゃいいじゃないかと思うかもしれませんが、IPsec+IKEでのVPN接続(インターネット接続方式)には、そのサービスを提供している事業者との契約が別途必要となります。つまり、追加でコストが必要になるということになります。下の表が、サービス提供事業者一覧になります。

IPsec+IKEサービス提供事業者一覧(オンライン請求及びオンライン資格確認等システム接続可能回線・事業者一覧表から抜粋)

この中で、「安価に導入でき、新たな機器(ルーター等のネットワークハードウェア)が必要ないもの」という条件で絞り込むと、3番目の富士通株式会社が提供している「FENICSII ユニバーサルコネクトアドバンス メディカルVPN接続サービス」になります。

サービス名初期費用月額機器設置備考
1.IP-Members45,000.-4,980.-ルーター設置有「IP-Members® レセプトオンライン請求パック一式」の場合
2.@Ondemand接続
サービス
(支払基金接続)
0.-
65,000.-
2,900.-
1,900.-
ルーター
設置有
「@OnDemand 接続サービス」スタンダードプランの場合(上段:OD-VPNアダプタ一括払いの場合、下段:OD-VPNアダプター月額払いの場合)
3.FENICSII ユニバーサルコネクトアドバンス
メディカルVPN接続サービス
5,000.-2,500.-無しハードウェアは必要のないソフトウェアVPNサービスのため、初期費用とともに月額費用も抑えられる。
4.セキュアネットワークサービス
SecureMinder
オンライン資格確認
for インターネットVPN
不明不明「サービス詳細/価格/販売方法等については個別にご相談ください」となっているので、詳細が不明です。
IPsec+IKEサービス提供事業者の比較

上記比較表で分かるとおり、別途ハードウェアも必要なく、最も導入しやすのが3.の富士通株式会社の提供するサービスであるのが分かると思います。

オンライン資格確認の端末に、VPN接続用の専用ソフトウェアをインストールして使用するのですが、既に富士通株式会社提供の「@Niftyオンラインレセプト接続サービス」をご利用の医療機関であれば、同じような利用の仕方になるイメージで大丈夫です。

この記事を執筆している時点(2021.3.23現在)では、NTTフレッツ光以外の回線を利用したインターネット接続環境しかない医療機関では、ほぼこれ一択になるんじゃないかというのが個人的な感想です。

当社でも、実際にサービス契約をしましたので、いずれ利用シーンを動画や記事でご紹介出来るようにしていきます。

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